日本の水素技術について

2050年の温室効果ガス「排出実質ゼロ」を目指した日本の脱炭素の技術の一環として、水素運搬船と水素エンジン車の話をさせていただきます。

川崎重工業は世界初の水素を運搬する実験船「すいそ ふろんてぃあ」を神戸でつくり、内部を報道公開したという新聞記事がありました。日豪の政府と合わせて400億円を投じて、電源開発(Jパワー)や岩谷産業などど、豪州でとれる褐炭を現地で蒸し焼きにして水素を取り出し、冷やして液化して運び、神戸港の陸上タンクに荷揚げする実証実験を来春までに進めるそうです。

また、トヨタ自動車は開発中の「水素エンジン車」で、富士スピードウエイで開かれた24時間耐久レースに参戦し完走させたという新聞記事がありました。水素だけが燃料のエンジン車による耐久レース参戦は世界初だそうです。

褐炭を焼く際に出る二酸化炭素は、地中深くに閉じ込めることで排出は「実質ゼロ」にできるといいます。

エンジンで水素を燃焼させるが、燃料が水素なので、ごく微量のエンジンオイル燃焼分を除き、二酸化炭素は発生しません。水素エンジン車でも燃焼時に空気を取り込むため窒素酸化物(NOx)が発生するが、後処理の既存技術で取り除けます。

ということで、どちらも日本の脱炭素の一翼を担います。

さて、川崎重工業は、従来の液化天然ガス(LNG)を運ぶLNG船の経験に加え、ロケット燃料用の液化水素タンクで培った技術を水素運搬船の開発に活かしています。 一方、トヨタ自動車は、燃料供給系と噴射系を変更し、従来のガソリンエンジンを水素エンジン車に活かしています。水素を活用した脱炭素技術としては燃料電池車(FCV)が注目されていますが、電池とモーターを使用せず、FCVほど高純度でない水素の使用が可能となる水素エンジン車は、FCVよりイニシャルコストもランニングコストも抑えられるかもしれません。

どちらも有形無形資産を活かして、市場で競争優位に立てるよう先行投資しているところが素晴らしいと思いますし、自分たちがもっている技術を活かして、新たな成長事業を見つけていくことは企業運営の基本だと思います。 また、新たな事業に資源を投資する際は、企業内で技術的実現性やビジネス採算性の判断を適正に行うことが重要です。仮説をたてて、仮説通りに進められているのか常に検証しながら、課題を見つけて修正して進めていく必要があります。

どちらの技術も今後様々な問題に遭遇するでしょうが、日本の国際競争力を上げるためにも、課題を解決しながら前進していってほしいと思います。

ここまで、日本の脱炭素を担う水素技術の開発事例について話をしてきましたが、Chargeerでは、実は水素技術の開発に近い内容をカリキュラムのなかやろうとしています。 それは、オンラインによるインタラクティブなやり取りを通じて、水素技術に相当する新商品アイディアを自ら企画し、実践的に物を作ってみて、できる範囲の投資をして、販売しようとしてみるの中で実務経験を得るというものです。

このような体験は、他では得られない価値あるものになります。また、どこにいっても通用する汎用スキルとなります。 ご参加を心よりお待ちしています。

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