本当に愛せる仕事 オンライン教育サービスの起業

オンライン教育サービス 「チャージャーキャリア」Chargeer Career(以下「チャージャー」)を起業したきっかけについて話をさせていただきます。

2019年10月末、36年の技術開発・商品設計にかかわる職務を終えて60歳で定年退職し、これからの10年は自分が本当に愛せる仕事をしたいという思いから起業も含めた再就職活動を開始しました。

チャージャーの起業を考えた動機は、日本企業や日本の国の将来が危ういと感じたのがきっかけです。加えて、若手技術者の支援や育成の手助けをして彼らの市場価値を高めたり、独り立ちを促したりしながら、市場のイノベーションに少しでも貢献したいと思ったからです。

そう思うに至った経緯を、日本企業がおかれている状況と日本の国がおかれている状況の二つの観点からご説明します。

ひとつめは日本企業の収益性の問題です。
企業がイノベーションを生み出し、企業価値を高めるためには、経営人材を含む「人的資本」や技術や知的財産等の「知的資本」、ブランドといった無形資産への投資が重要です。しかし、日本企業の無形資産投資額は欧米と比べて少なく、また2007年をピークに減少しています。
投資指標であるPBR(株価純資産倍率)は、日本企業が長年1.0前後に低迷しているのに対して、欧米は2.0超えです。また、財務指標であるROE(自己資本利益率)は、日本企業が7~8%で推移しているのに対して、欧米は10%超えで、15%以上の企業も4割程度あります。
ひとことで言うと、投資家の期待に応えられず、世界市場のなかで日本企業の企業価値は低迷しています。

二つめは日本の家計の問題です。
日本の基礎的財政収支(PB:プライマリーバランス)は毎年マイナス(赤字)なのはご存じと思いますが、2019年のPBはマイナス15兆円、2020年度は、コロナ禍対応として一次・二次補正予算56兆円分が歳出に追加された影響でマイナス68兆円です。そして日本の債務総額はすでにGDPの2倍に達しています。今後、実質GDP成長率2%の「成長実現ケース」を想定しても黒字化は2029年度、成長率1%の「ベースラインケース」では永遠に黒字化できない予測です。一方、国家予算の1/3を占める社会保障費は2040年まで増え続けます。現在社会保障費の1/3を占めている医療費は2040年には2018年比1.7倍、1/3を占めている介護費は1.4倍、1/3を占めている年金も1.2倍に増加します。にもかかわらず、負担を担う働き手の生産年齢人口は2040年まで減り続ける構造です。
ひとことで言うと、成長戦略を実現してGDPを押し上げて企業や国民からの税収を増やすことができなければ、少子高齢化社会で世界のトップランナーを走っている日本は社会保障費を賄うことができずに、世界市場の信用を失って財政破綻するということです。

投資家の期待に応えながら成長戦略をたてて実現していくためには、既存企業に頼らずに、知的資本の中核を担う技術者がキャリア形成に必要な経験とスキルを手に入れて、イノベーションを実現しながら生産性を上げて収益をあげていくしか道はないと思います。

私ができることは、その道につながるような実務経験をつめる場を提供し、教育カリキュラムを通してエンジニアの市場価値をあげる手助けをすることです。
そこで、以前一緒に仕事をしたことがある、30代の設計技術者と技術コンサルタントに協力をお願いし、技術者の応用力を底上げできて市場価値を高められるチャージャーの教育カリキュラムを三人で作り、運営することにしました。

チャージャーのオンライン教育サービスを通して、一人でも多くのエンジニアが社会の変化を先取りしたキャリア形成の準備を進め、企業の中で高い職務遂行能力を発揮したり、独り立ちしてイノベーションを巻き起こしてくれることを期待してやみません。

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